土地の評価額を抑えれば、相続税の軽減につながります。二世帯住宅の敷地なら、一定の要件を満たせば「小規模宅地等の特例」が適用され、相続税の評価額が最大80%減額できます(資料A参照)。さらに2014年から、建物は1棟でも玄関は二カ所あり、内部もそれぞれが独立している「完全分離型」の二世帯住宅も「小規模宅地の特例」の対象となり、二世帯住宅のメリットはより増加しています。
親から子へ資産を相続する場合、現金や預貯金を「賃貸併用住宅」などの不動産に換えることで相続税を50%減額するという方法も考えられます(資料B参照)。また、相続する土地のうち、賃貸として利用している部分に関しては、「貸家建付地」として評価額を20%減額ができ、(賃貸)家屋は自宅より30%増額できる場合も。また賃貸併用住宅なら毎月の家賃収入が得られるので、住宅ローン軽減の足しになるのも魅力です。さらには賃貸住宅での土地活用なら、固定資産税も節税することもできます(200m²以下の部分は課税評価が1/6、200m²を超える部分は1/3)。
最近の傾向として、親世帯と同居するよりも、近くに暮らす「近居」の人気が高まっているようです。確かに、年代の異なる2家族がひとつ屋根の下で暮らすというのは、何かと気を使うものです。その点「近居」なら、普段は完全に別居しているのと同じ。生活時間帯の違いや食の好みなどを気にせず、これまで通り自分のペースで快適に暮らせます。
国土交通省が行なったアンケートによると、既婚者とその親との近居理由として「緊急の事態が心配だから」「気軽に顔を見に行ったり、話し相手になったりできるから」などの回答が目立ちます。近くに住むことによって、必要なときにお互い助け合おうとしている傾向が見られます。
近居を選んだ理由の中では、「子育て協力」も大きな割合を占めています。働きながら子育てする女性は珍しくなく、家事・育児支援のニーズは高まる一方。孫育てに積極的な「イクジイ」「イクバア」の協力を得て育児や家事の手助けをしてもらえるのであれば、まさに理想的な環境といえるでしょう。
二世帯住宅を資産として考えた場合、相続時に兄弟間で分けにくい、いざ売却しようとした時に家が大きすぎて買い手がつきにくい、というケースも。その点、互いが単独名義の戸建てを持つ近居スタイルは、このようなリスクを軽減するうえ、どちらかの住まいを賃貸として貸すことも可能です。